掲載情報『リラックスアロマテラピー』209号「香りの世界 香りと文学」『安房直子コレクション1 なくしてしまった魔法の時間』執筆

 アロマテラピーのワンテーママガジン『リラックスアロマテラピー』(アシェット・コレクションズ・ジャパン)209号(2022.6.1号)が発売されました。 209号では特集「香りの世界 香りと文学」のコーナーで、児童文学作家安房直子の作品で描かれる植物と香りについて執筆しました。 作品をイメージした写真のスタイリング、撮影も担当しました。

<写真> 「赤いばらの橋」のイメージ

……「とろけるような花のにおいの中で、きれいな音楽を聞くよろこびを、小鬼は、このとき、はじめて知った」のです。ばらの花の「いいにおい」が小鬼の心をゆり動かして、二人の心が通いあうように導いたのです……

<写真> 「さんしょっ子」で描かれるサンショウ(山椒)

……さんしょっ子は男の子にほのかな思いを寄せているのですが、人間と木の精は結ばれることはありません。さんしょっ子から男の子へ、男の子から女の子へと、それぞれの叶うことのない思いが、ピリリとしたサンショウの香りとともに胸に沁みます……


 ページ構成の関係で掲載できなかった部分を以下にご紹介させていただきます。


 「あるジャム屋の話」では、鹿の娘がジャム屋の手伝いをして人間の青年と結ばれます。鹿の娘はジャムを煮るにおいがあんまりいいにおいなので、味見をしたくなったのです。

 鹿の娘は、ジャムのびんに「夢のように美しいレッテル」を描いてくれたり、野ばら、桑の実、山すもも、木いちご、こけもも、かりん、ラズベリー、野菊、アカシヤの花といっためずらしいジャムを作ることをジャム屋にすすめます。

 ジャム屋の「わたし」と鹿の娘が、初めて一緒に味わったジャムは、ロシア紅茶にいれたいちごのジャムです。そして、二人の絆を強く結びつけたのは、ブルーベリーのジャムでした。

 鹿の娘が連れていっていってくれた秘密の場所でもぎとった濃い青色のみずみずしいブルーベリーは、鹿の娘と「わたし」の恋心のようなフレッシュな甘酸っぱさに溢れていました。  


 ばらの香水や野山の恵みのジャムといったメルヘンの世界にふさわしいモチーフに彩られた安房直子の作品には、和やかな中にもちくりと胸を刺さされるような人の心の機微が描かれています。





  

香りと文学 aroma accessory m.

文筆家・アクセサリー作家 蜜蝋ビーズ考案 展覧会・ワークショップ開催 香りと文学をテーマにアロマテラピー専門誌に執筆・連載 著書『アイダミホコのはじめてのヘンプ フェアトレード素材でつくるかわいいアクセサリー』合同出版株式会社刊 『物語の食卓』シリーズが日本女子大学成瀬記念館に安房直子関係資料として収蔵 第1回角川武蔵野文学賞最終選考 お問合せ mikomawsco@gmail.com